給与から控除し、会社が納付する社会保険料、雇用保険料、所得税、住民税について主に解説します。
社会保険料の控除方法
社会保険は健康保険、介護保険、厚生年金保険につき会社がそれぞれ保険料を毎月の給与から控除して徴収し、納付します。
- 標準報酬月額
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社会保険料は、実際に支給される給与額に直接保険料率をかけるのではなく、当該社員の平均的給与月額(交通費込み)を、標準報酬月額表に当てはめて標準報酬月額を決定し、この標準報酬月額に料率をかけて算出します。
例えば、交通費等込みで月の平均的給与額が292,000円であれば、290,000円~310,000円の枠(22等級)に該当するので、標準報酬月額は300,000円ということになります。
標準報酬月額は、入社時(社会保険加入時)に決定されたあとは、大幅な賃金額の変動が3ヶ月続いた場合(給与改定があったときの保険料参照)と、毎年7月の算定基礎届のとき以外は変更されません。
- 本人負担分保険料率(2013年9月現在)
健康保険 |
1000分の49.85(東京都の場合) |
(協会けんぽ) |
介護保険 |
1000分の7.75(40歳以上のみ) |
厚生年金保険 |
1000分の85.6 |
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※保険料率は毎年9月および3月等に変更がありますので、変更については当事務所のお知らせや日本年金機構、協会けんぽ、健康保険組合のホームページを必ずご確認ください。
- 給与からの控除方法(翌月徴収〈一般的な方法〉)
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社会保険料は、入社月(保険加入月)分から退職日の翌日が属する月の前月分まで発生します。
保険料の控除は、当月分を翌月に支給される給与から控除します。
つまり、4月1日入社で20日締め、当月25日支払いの会社であった場合、最初の4月分保険料は、4月25日の最初の給与からは控除せず、翌月の5月25日支給の給与から控除を開始することになります。
雇用保険料の控除方法
雇用保険料は、社会保険料と異なり毎月の給与総額(交通費込み)に直接保険料率をかけて算出します。
そのため、雇用保険に加入して以降に発生した賃金からはすべて保険料を控除することになります。
20日締当月25日支払いの会社で、4月1日入社の社員がいた場合には、4月25日に支給される給与(4月1~20日分)から保険料の控除を開始します。
なお、雇用保険料と、労災保険料の二つを合わせて「労働保険料」と言いますが、雇用保険料は本人の負担分もあるので給与から天引きする一方、労災保険料は会社負担分のみなので給与からの控除はありません。
所得税、住民税の控除方法
- 住民税の控除方法(特別徴収(天引き)の場合)
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住民税も1年間(1~12月)の所得に対して課税されますが、その年の所得を元に自治体が税額を算出し、算出された税金を、会社が翌年の6月から翌々年の5月にかけて、社員から給与天引きにより徴収します。天引きした住民税は毎月翌月10日までに各自治体に会社が納付します。
自治体は毎年1月に会社から提出される「給与支払い報告」によって社員の前年の所得を把握し、税額を計算して、会社に5月頃通知します。
なお、1月以降に社員が退職した際は、その年の5月までに徴収すべき住民税を一括で会社が徴収して収めるのが原則となっています。
給与改定があったときの保険料
- 標準報酬月額の変更(随時改定。月給の場合)
- 給与額に大幅な変動があり、次の3点を満たすときは、その社員の標準報酬月額を改定します。
- ① 固定的賃金(基本給、家族手当、交通費など)が変動した。
- ② ①の変動後、残業代など変動する賃金を含めた3カ月の賃金の平均が、そのときの標準報酬月額と2等級以上の差を生じている。
- ③ 変動後3カ月とも、給与の支払基礎日数が17日以上ある。
以上の3点を満たす場合は、管轄の年金事務所に標準報酬月額変更届をご提出下さい。
- 月額変更後の保険料
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月額変更をすると、賃金改定後4カ月目(支給月で見ます)の保険料から新しい報酬が適用されます。
例えば、4月に支給された給与に変動があった場合は、7月分の保険料から改定になり、保険料を翌月控除している場合は8月支給分給与から新保険料を控除します。
《届出時の必要書類と情報》
- 変動前1カ月、変動後3カ月の賃金台帳
- 対象者が役員で、大幅に減額される場合には、取締役会議事録
※固定的賃金に変動があったときに、当事務所までご連絡いただければ、月額変更届を提出すべき時期に改めてこちらからご連絡いたします。